電池革命

「電池を制するものは世界を制する」
これは、二次電池の開発に関わるベンチャー企業に対する、投資家たちの間で生まれた言葉である。

二次電池とは、充電ができる電池の事である。
従来の乾電池等は充電ができないので、使い捨てが基本仕様だ。
しかし、スマートフォンの爆発的な普及やEVカー(電池自動車)構想により、二次電池の開発に寄せられる期待は非常に大きいものとなった。
二次電池にかけられる期待は「充電」だけに留まらず、高速放充電や大容量蓄電等、寄せられる期待は非常に大きなものである。
現在ではリチウムイオン電池が主流となっているが、持ちの悪さや発火の懸念など課題も大きく、また、EVカーには充電時間があまりにも長くかかりすぎ、実現を妨げる大きな要因となっている。
これらの課題をクリアし、安全かつ高速充放電可能な夢の二次電池の開発が急務となる。

そんな中、二次電池として期待が高いのは、リチウムを除くと次の通りだ。
1.量子電池
2.マグネシウム電池
3.セラミックス二次電池
4.水素電池

4の水素電池についてはテレビや様々なマスメディアで取り上げられているので、こちらでは詳細は割愛する。
それ以外の1~3については、あまり知る人は少ないのではないだろうか?
では、早速「1」の量子電池から見ていこう。

「1」量子電池とは
量子電池は日本の企業であるグエラ・テクノロジーと日本マイクロニクスが共同で開発した二次電池である。
出力電圧は1.5vで、現在市販されているリチウムイオン電池とほぼ同等の能力だ。
量子電池の最大の特徴は、高速充放電と安全性である。
また、形状がペーパー型をしており、デバイスに合わせた形状に裁断したり、積み重ねる事によってパワーアップも期待できる。
近年、飛行機に搭載されたリチウムイオン電池の発火事故が相次ぎ問題となっている。
また、スマートフォン等は必ずしも高速充放電は必要ではないが、EVカーはそうはいかない。
現在の技術では充電に10時間はかかり、これでは普及は無理な話だ。
EVカーの普及には、高速充放電、大容量の二次電池が必要不可欠なのである。
そういった意味でも、量子電池にかけられる期待は大きいだろう。

「2」
マグネシウム電池とは
マグネシウム電池とは、空気中の酸素と電解液に食塩水を利用する、空気電池と燃料電池の双方に属する電池である。
2013年に東京工業大学の矢部孝教授と、日本の民間企業の藤倉ゴム工業が開発した二次電池だ。
他にも2014年6月、不二サッシの子会社である不二ライトメタルが、マグネシウム合金による二次電池を開発すると発表した。
経済産業省の意向を受けて、主に原発の非常用電としての活用が期待されるところである。
原発の非常用電源は、あの忌々しい東日本大震災での、福島第一原発で大問題となった。
こういった状況を受け、原発の非常用電源の確保は、国をあげての最重要テーマとなっている。
不二ライトメタルは、3年後の2017年の完成を目指している。

「3」セラミックス二次電池とは
セラミックス電池は、2014年4月、日本の民間企業である石井表記が開発した世界初のインクジェット製法による全個体型の二次電池である。
材料に使用する素材は量子電池同様、希少素材は一切使用しておらず、安価での量産が期待されるところである。
量子電池と共に、二次電池の筆頭候補の一つとして期待されるところである。